現実

実家のリフォームから2年弱。それほど多く帰省しているわけではないが、様変わりした実家にもすっかり慣れた。
客間のよそよそしい雰囲気も慣れてしまえば、小奇麗なスペースで、数日過ごすには快適だった。
前回の記事に、リフォームをしたマイホームを、ということを書いたが、最近そういったことが増えているようだった。
不動産会社がリフォームまで請け負うワンストップサービスなるものも多いようで、調べていくうちに少しわくわくした。
そんなことを考えている矢先、友人に会った。
その友人は今は賃貸で住んでいるがマイホームの購入を考えているそうで、そんな話をしたいという理由で合う約束をしたのだ。

その日そいつは奥さんが別で出掛けるからと、小学生になったばかりの娘を連れてきた。
生まれたばかりの頃に数回だけ会ったことのあるその子は、きちんとひとりでファミレスの席に座り、ドリンクバーでジュースを取り、フォークとナイフを使ってハンバーグを食べていた。
ベビーチェアもエプロンももう必要ないことに、小さな子供の成長に素直に驚いたことを伝えると友人は、一緒に暮らしていてもそのように思うのだと言う。
朝起きてできなかったことが、夜帰宅するとできるようになっている。子供の成長速度には驚くばかりだそうだ。
食事をしながら会話をしていると、娘に「パパひじついてたべちゃだめ」と注意をされ嬉しそうに笑い、「早くお前も嫁さんもらったほうがいいぞ」と、友人は父親の顔をしてまた笑う。
できるものならそうしたい。
なんだかマイホームへの興味が少し冷めてしまった。
友人は悪気があったわけではないだろうが、欲しいものはそうじゃないだろう、と現実を突きつけられた気がした。

読書
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